立てないけれど立ち上がれ(共生実現に向けて)

講師 千葉義塾インテグレーテッド・アカデミー
千葉 祗暉(ちば まさあき)様

千葉さんプロフィール

埼玉県川口市出身 1961・10/18生まれ 59歳
1982 年海水浴時海の浅瀬に飛び込み頚椎を骨折し、以後車椅子生活
立教大学大学院コミュニティ福祉学部スポーツウェルネス学科修士課程修了

◆現在
福祉機器開発、ハード・ソフト面のバリアフリーコンサル&企業研修講師  ㈱ナカ工業アドバイザー ㈱キャリアバンク・いじめ構造改革PIT顧問 (一社)千葉義塾インテグレーテッドアカデミー代表    選手発掘・育成コーチ

◆主な競技歴 車イス陸上競技
1992 バルセロナ・パラリンピック 100 m 6 位
1996 アトランタ・パラリンピック 100 m 5 位
2000 シドニー・パラリンピック 100 m 7 位
1994 世界選手権ドイツ・ベルリン 100 m 5 位
1998 世界選手権イギリス・バーミンガム 100 m 2 位/1500 m 2 位

◆活動歴・一部抜粋
(一社)日本チャレンジドアスリート協会代表(選手育成・強化、就労支援2013~2018)
DAN CARTER charity for Allプロデュース(2017/7首都大学東京 荒川 開催)
国立リハビリテーションセンター研究所非常勤技術委員 NPOバラエティクラブ代表理事・国際チャリティ団体(子ども支援2001~2017年)
千葉・筑波・東京学芸・山梨大学 非常勤講師(2014~)
ジュニア・ユースパラ2003香港・2009東京・2013マレーシア陸上競技 日本代表監督 2011・12・13・14年 
復興チャリティイベント「サンタ・ファンラン」主催 東京都産業労働局観光部・宿泊施設バリアフリー化アドバイザー (公財)東京都公園協会・広域避難場所バリアフリーアドバイザー 日本身体障害者陸上競技連盟理事(1993~2013)ジュニア強化育成部部長
2020東京パラリンピック・ワーキングチーム(野田聖子座長)エキスパートメンバー
千葉市・埼玉県オリ・パラ都市ボランティア養成講座・講師
千葉市教育委員会委員(2016~2020)

千葉さんが40年の経験・体験から伝えたいこと(まとめ)

① 単に知識を「教える、教わる」ではなく、使える知恵を「伝える」こと。
② 「助ける」よりも「手伝う」。その手伝いが気付きを促し、社会の環境整備につながり、やがては誰もが自立できる社会になる。
③ 障害があろうが可能性は無限大。できることの発見、そしてそれを引き出す方法を追求することが大事。
④ 社会的弱者を「助ける」という発想が根本的に間違い。社会的弱者を「減らす」という発想が正しい。現在の日本国民に問われているのはマナーと環境整備。
⑤ 見えている場所、見る観点を変えてみる。→餅は餅屋で創意工夫がある。

エピソードからの考察

エピソードⅠ
学校で講演に呼ばれて、子どもたちから「何で歩けないの?足を触っても感じないの?車椅子って面白いね。」と言われた。

千葉さんが伝えたいこと
こういう素直な感覚が大事。人は直にコミュニケーションを取ることで関心をもち、共感を得ることができる。共感力を高めましょう。

エピソードII
主催していたNPOで、障害児ができないことを親がなんでもやってあげていた。
子ども「ママ、ペットボトル開けて!」
千葉「自分でできるだろ!」
母親「この子自分で開けたことがないので…」
千葉「開け方教えてあげるよ」→両手の握力が弱くてペットボトルが握れなくても開けられる方法伝授!!!
子ども「ママ、僕ペットボトル開けられたよ!!」

千葉さんが伝えたいこと
親が先になんでもしてあげてしまうと、本人はいつまでもやったことがない状態になり、親も本人もできないと思い込んでしまう。個々に合った方法を探すこと。それぞれの可能性を引き出す考え方と時間が大切。みんなで情報の溝を埋めましょう。

エピソードIII
子どもの行動のちょっとしたことを褒めることで成功体験を積ませた結果、友達が落とした鋏(ハサミ)の刃を自分に向けて渡してあげることができた。

千葉さんが伝えたいこと
人は褒められて、成功体験を積むことで、生き方を簡単に変えることができる。褒められたことで、「この行為や考え方はいいんだ」と自信を持つことで、次に繋げられる。

エピソードIV
公園で、ある親が千葉さんをみて子供に「うつるから近寄るな」と伝えた。

千葉さんが伝えたいこと
間違った理解や認識が誤解を生み、取り返しのつかない結果になる。 人の良い面に興味を持ち、洞察力を鍛えよう。心の狭い人間にはなるな。

エピソードV
エレベーターに先に乗っていた車いすの千葉さんに子どもが話しかけようとした。咄嗟に、子どもの母親が子どもの口をふさぎ、次の階で降りてしまった。(千葉さん→きっと間違った配慮だろうと想像)

千葉さんが伝えたいこと
あの後、母親は子供さんに満額回答できたのか。千葉さんはきっと答えられたと思うとのこと。

(以下、あの場面での想像)

子供「おじちゃん、なんでそんなの乗っているの?」

千葉「ケガして歩けないんだ、君も気をつけないとだめだよ」と…。餅は餅屋にの精神で対応していただろう。

エピソードVI ~車いすユーザー対お年寄り。優先・専用パーキングでの取り合い事件。~
千葉「車椅子なんです」
お年寄り「俺だって年寄りなんだ」

千葉さんが伝えたいこと
優先・専用の意味や内容を国(関係省庁)が定義・決めごととしてしっかりと国民に伝える。お互いに人を思いやるという気持ちを持って公有財産を利用しましょう。自分だけ良ければいいという発想は同じ地球に住む人として寂しい。

まとめ

障害を持つ容姿を見て可哀そうと思うのは大人の発想。子どもは初めて見るから疑問だらけ。子どもたちの疑問を解消してあげられるように、教育と経験を与え、答えも伝える。

→ 子供の頃から様々な立場の方と接する教育と経験が大切。気づいている大人は子供に積極的に伝えてあげよう。大人になってからではなかなか気づかない。けれど、気づいた時点からでも決して遅くはない!